まえがき。

このページでは、伊藤がどのような研究室をつくりたいか、配属学生の皆さんにどのような研究生活を送ってほしいか、 どんな学生にぜひ伊藤研究室に来てほしいか、という思いを徒然なるままに書いてみました。
とても長い文書ですが最後まで読んで下さい。情報科学科の研究室配属方法、他大学からの受験方法、といった重要な情報が最後に載っています。
この文章はあくまでも「目標設定」であって、必ずしもここに書かれていることが100%実現できなければ伊藤研究室に在籍できないという意味ではありません。軽い気持ちで読み進めて下さい。

研究室生活について素晴らしい解説をされている方々が学外にもたくさんいます。 伊藤が特に共感できるものを以下に紹介します。
大学院生へのメッセージ(京都大学 篠本滋先生)
研究室運営について(明治大学 中村聡史先生)
新しく研究室に入る人のためのオリエンテーション(心構え編)(九州大学 井上創造先生)
研究室の選び方(名古屋大学 時田恵一郎先生)
大学で「きちんと」研究をしていた人が企業でも有能な理由。

伊藤研究室に関する主な数字。

伊藤研究室の財産は、意欲的な先輩陣です。皆さんの先輩のアクティビティを、以下の数字で実感してください。

  • 大学院(博士前期)進学率:96%(1〜14期で73人中70人) ※うち5人は他大学または他研究室への進学
  • 大学院(博士後期)進学者数:研究室創立以来17人 ※ただし半分以上は社会人博士学生
  • 英語での論文投稿:78%(1〜9期で51人中40人)
  • 英語発表でのBest Paper, Best Poster, Journal Nomination等の経験:2018年までに19件
  • 2か月以上の研究留学:2012〜2018年で延べ32人

海外での学生表彰の風景。
海外での学生表彰の風景 2016年度の年間報告も参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。

そして、これから配属される皆さんにも、これが当然のレベルとして研究に臨んでいただく、ということを念頭に置いてください。 例えば、目安として1年に2〜3回の学外発表、大学院に進学したら英語での学会発表。 これは伊藤研究室では原則義務だと思ってください。
(必ずしも情報科学科は、卒業のために上記のような基準を設けません。しかし、配属先研究室での義務は、卒業の基準とは全く別のものだと思って下さい。)

伊藤研究室は、配属と同時に、
速いペースで研究を進めます。

伊藤研究室の、配属直後の4年生の研究スケジュールは、以下のようになっています。

毎年9月に開催される研究合宿の風景。
毎年9月に開催される研究合宿の風景
3〜4月 研究内容の概要をゼミで勉強する。
自分の興味のある研究テーマを自分で決めて、論文調査を自分で進める。
5月 研究室内合宿で発表デビュー。
発表10分、質疑20分、というスケジュールで、自分の研究テーマを紹介する。
いきなり先輩方の質問攻めにあう。
6〜8月 自分の研究内容を原稿にまとめて、学外合宿に投稿する。
研究内容に関するプログラミングを始める。
9月 他大学の学生が集まる大規模な合宿の場で、 学外発表デビュー。
1時間弱の長丁場で、優秀な他大生たちの質問を山ほど受ける。

このように伊藤研究室は、 4年生前期が忙しい研究室 です。
そして伊藤研究室では、 就職活動があろうが、教育実習があろうが、 毎年全員必ず、このペースで研究を進めています。
就職活動や教育実習で研究に遅れが出るようなら、 ゴールデンウィークや夏休みを研究に専念することで、遅れを取り戻してください。

なお他大学からの進学者については、個別に相談してベストな手段をとろうと思います。 他大学での学部卒業研究内容から派生した内容で大学院の研究に取り組むのであれば、学部卒業研究についても差し支えない範囲で協力します。そうでない場合にも、例えば東京近郊に在住している人の場合、学部卒業研究と並行して伊藤研のゼミにも参加する、といった形が考えられるかと思います。

研究テーマの決め方について。

伊藤研究室の研究テーマの決め方は、大きく以下の2種類にわかれます。

[パターン1]Needsを満たす。
伊藤が学内・学内の専門家・関係者から委託されたり、
あるいは伊藤がかねてから着手している研究テーマを分けてもらう。

伊藤研究室のプロジェクトのホームページを見ればわかるかと思いますが、過去の研究テーマの中には、原子力発電所、クレジットカード不正使用、計算機ネットワーク不正侵入、薬物実験、新聞記事、といった堅実な分野の研究テーマが多く見られます。この大半は、伊藤が考えた(または外部から委託された)研究テーマに学生が着手したものです。
この形で研究テーマを選ぶことには、以下の通り、非常に多くのメリットがあります。

  • 研究室外の専門家が「これは必要だ」と思って提唱した研究テーマです。よって、その研究が何のために必要であるかを説明するのは簡単です。
  • 伊藤にも責任が伴っている研究テーマですから、研究が進まなくて困っている場合には、伊藤が積極的に介入します。
  • 学外発表のお膳立てが揃っている場合も多く、比較的早期に学外発表に行けます。

[パターン2]Seedsを開拓する。
自分でやりたい研究テーマを見つけて着手する。

主として個人ユーザ向けの研究テーマや、趣味や娯楽のカラーが強い研究テーマは、このパターンで実現されています。意欲的な人は、このパターンで、自分のやりたいことを見つけてくださって結構です。
研究テーマ探しを学生が独力で行うのは容易ではありません。特に教員の専門から離れた研究テーマを探したい場合には、完全に自己責任でそのテーマを選んでもらうことになります。 そのかわりに、[パターン1]の人に負けない充実感と、多くのノウハウを得ることができるでしょう。

ただし大きな問題として、学生全員が[パターン2]で研究テーマを選んでいたら、研究室は破綻する、ということがあります。 伊藤研究室の存在意義や獲得予算は、主として[パターン1]の研究テーマに支えられています。学生が誰もこれを選ばなかったら、伊藤が一人で[パターン1]の研究テーマに着手する、という非現実な状況になってしまいます。 このような状況により、自分でやりたいことを見つけて自分でテーマを決められない人には、[パターン1]の形で研究テーマを決めることになりますので、ご理解ください。

また最近では[パターン1]の学生のほうが、国際会議での登壇、学会発表での授賞を得る機会が多い傾向にあります。[パターン2]で研究テーマを選ぶ人はその点も考慮してください。

伊藤研究室の環境と方針を理解して下さい。

伊藤研究室には教員が1人しかいません。

学生室 B4やM1での研究の進度が、皆さんの進路や金銭的負担に影響を与える可能性があります。M2での就職活動時にM1までの研究成果が大きく影響する場合もあります。M2で奨学金返済免除申請を出す人も、日本学術振興会の特別研究員DC1としての博士学生を目指す人も、M1までの研究成果が大きく影響します。一方でB4,M1といったら皆さんはまだ研究経験の浅い時期であり、最大限の研究成果をあげるためには研究を指導してもらう環境や体制も重要になります。 つまりB4やM1でスタートダッシュを切れる研究室を選ぶことは重要ともいえます。

伊藤研究室の環境面でのボトルネックは、教員が伊藤1人しかいない(助教やポスドクもいない)上に、伊藤に外出不在が多いという点です。にもかかわらず、国立大学にしては学生数が多く、しかも後述の通り研究テーマも生活リズムも多様性が高く、学生1人1人が研究経験の浅いうちから独立して研究成果をあげないといけません。以上の点においてお世辞にも伊藤研究室は恵まれた環境にあるとはいえません。

また伊藤研究室では、配属半年以内の学生とは隔週で教員との面談を実施しますが、それ以降は面談は申込制になります。よって、自分から面談を申し込まないと教員との議論の機会がどんどん失われます。それが理由で研究成果を出せなくなる可能性もあります。

研究の進度は研究課題の選び方や毎日の態度によって短期間でも差がつきます。研究室に配属される前からその心構えを作ってください。

ところで伊藤も50代のベテラン教員になりました。大学教員は50代ともなれば大学運営のための重要な責務を突然背負わされることがあり、突然多忙になって研究指導時間が減るということが起こり得ます。伊藤に限らずベテラン教員の研究室を選ぶ際には、そのリスクも多少は意識しましょう。

有形財産も無形財産も獲得しましょう。

伊藤は研究によって得られる財産には2種類あると考えています。

[有形財産]
経歴や収入になる成果。例として、学会発表業績、各種の表彰や賞金など。

[無形財産]
定量化されないスキルや知識。例として、専門知識、文書作成・プレゼンテーションなどのスキル、論理思考力や問題発見力など。

有形財産の獲得は研究に取り組んだ量に対してかなり強い正の相関がありますが、完璧に正比例するとも言えません。運や巡りあわせに左右されることも時々あります。 一方で無形財産は決して皆さんを裏切りません。努力の量に対して必ず向上します。また研究職に就かない人にも生涯にわたって役に立つ財産となります。
不運にして、例えば研究課題を変える必要に迫られた人も、例えば体調不良などの理由で一時的に研究を離れた人も、それまでの努力で無形財産を獲得している人であれば着実にリカバーできるでしょう。
研究生活を経て自分はどんな無形財産を得られているか、これからどんな無形財産を得たいか、考えながら研究生活を送ってください。そうすれば、研究室生活が皆さんにとって意味のあるものであったことを認識しやすくなるでしょう。

研究室という集団の中での役割も果たして下さい。

単に論文を読んだりプログラムを開発するだけなら、自宅でもできます。 しかし、同じ研究室に配属になったメンバーとの議論、助け合い、その他の日々の会話、そんなことも研究室生活の一部です。

配属学生全員参加型の研究室を目指し、お互いの研究に関心をもち、 お互いの研究に意見や質問をはさみあうことで、視野の広い研究室生活を送ってください。

このような研究室を目指すために、皆さんに念じて欲しい一言があります。それは、

質問せざる者、卒業するべからず

です。皆さんがお互いの研究を向上させるためには、お互いの研究に積極的に質問すること。 これも研究室生活の義務である、という自覚を持って下さい。

伊藤が描く理想の研究室像の一つに、 一部の優秀な学生が活躍するというよりも、一人残らず全員が一定以上の意欲と成果をもって参加する研究室 という観点があります。 それを実現するためにも、全員の研究に全員が意見を交わす、そんな研究室であってほしいと願います。

それと同時に、思い出深い研究室生活を送ること、卒業も長く続く友人関係を築けるような研究室生活を送ること、 なども目標にして欲しいと考えています。 研究室生活は、学生時代の友人作りにおいて、ほとんど最後のチャンスです。 盛り上がって過ごした日々は、長く皆さんの記憶に、財産として残るものです。 そのような財産を皆さんに持っていただくための研究室作りを、伊藤は心がけたいと思っています。

研究室の教員には、やむを得ず皆さんを評価しなくてはいけない時があります。研究生活は必修科目ですので毎年成績をつけなければいけません。また、進路や奨学金に絡んだ推薦書を作成する際に皆さんの点数をつけないといけない場合もあります。
伊藤は皆さんを学力や研究業績だけで順位付けることはしません。むしろ

  • どれだけ積極的に研究室内で議論した上で自己の研究テーマを進めたか
  • 研究室のゼミや行事にどれだけ休まずに出席し、どれだけ他の学生の研究にも有益なアドバイスを出したか
  • 研究室の将来にどれだけ多くの資産を残したか

といった点を成績上の大きな判断基準とすることを宣言します。

皆さんは投資されています。

本学の経理は主に授業料と税金でできています。むしろ税金のほうが大きな割合を占めています。よって皆さんは研究室生活において、授業料のモトを取るだけでなく、税金によって投資してもらった社会へのお礼を形で示す必要があると考えます。

では研究室生活の中で、どのようにしてモトを取り、どのように社会にお礼をするか、私なりの意見を述べます。

授業料のモトを取るためには、研究費を使っていい経験を積んで下さい。 いろんな場所に学会発表に行けば、文章力や発表力もあがりますし、多くの人脈ができます。これらの実力と人脈が皆さんの将来を拓きます。

社会にお礼するためには、完成された研究成果を文章として出版し、その知見を後世に残してください。 いまや論文を読むのは研究者だけではありません。聞くところによると伊藤研の論文は多くの企業人(非研究職)や高校生にも読まれているそうです。 そのような形で多くの人に読んでもらえる、完成した研究成果をあげてください。そして、研究の動機、研究動向から始まり、理論や実装の詳細、実験結果や考察にいたるまで、すべてを後世に書き残して下さい。

皆さんは投資されて研究室生活を送ります。いい経験を積んで皆さん自身が成長するとともに、後世の発展につながる記録を論文という形で残すことで、社会にお礼をしてください。



伊藤研究室を目指す学生の多様性。

学生の多様性は伊藤研究室の長年の特徴の1つだと考えています。

伊藤は研究という本業以外にも、インターンシップ・ハッカソン・留学といった学外活動を奨励していますし、また研究室配属後のアルバイトやサークル活動も一切制限していません。よって研究室配属後も、研究以外の活動にも精力的に取り組む学生もいますし、一方で多くの時間を研究に捧げて素晴らしい成果を出す学生もいます。

研究に対するモチベーションも人それぞれです。伊藤研究室の本来の専門性に関係なく自分のアイディアを持ち込んで研究テーマにしようとする学生もいますし、逆に伊藤の得意分野に従事することを望む学生もいます。さらに、企業共同研究に参加することを目当てに伊藤研究室を志願する学生もいます。 研究内容も、データ分析や科学シミュレーションといった社会的にクリティカルな問題に関わりたいという学生もいれば、日常生活を題材にしたい学生もいますし、さらにはアーティスティックな題材やエンターテイメント性のある題材に取り組みたい学生もいます。

このように伊藤研究室は、学生を1つの枠にはめたり、1つの目標に一丸となって向かわせるのではなく、個人のモチベーションやライフスタイルを尊重した活動を展開しています。 ひょっとしたら伊藤研究室に配属してみて、「メンバーの研究テーマがバラバラすぎて私と同じ研究分野に興味をもつ人が見つからない」とか 「新しく入った後輩たちが私達とあまりにもタイプが異なる」と思われることがあるかもしれません。 こういう感想をもつ可能性があるのは伊藤研究室の宿命です。伊藤研究室の最大の利点の一つでもあり、人によっては最大の問題点だと感じるかもしれません。自分を失わないように活動を進めることを期待します。

いっぽうで、こういう研究室だからこそ、「多彩な考え・多彩な活動・多彩な研究テーマに接して視野を拡げ、多くの経験を積むことができる」のも伊藤研究室の特徴です。その点を最大限に活かした学生生活を過ごして下さい。

なお注意していただきたい点があります。 前述のとおり、伊藤研究室は研究以外の学外活動を全く制限せずに自主性を重んじて研究室生活を過ごすことを学生に期待しています。一方で、

研究室配属と同時に研究に時間を捧げ、
十分な調査や議論によって研究テーマを選び、
スタートダッシュを切って早く結果を出した学生が、
大学から利益を得る機会(*)を独占する傾向にある
(* 例えば海外出張の機会、学内表彰、奨学金返済免除などを指す)

という状況もあります。この点を忘れないようにした上で、どのような研究室生活を送るかを各自で考えて下さい。

研究室配属への手続きについて。

情報科学科3年生の配属

情報科学科の研究室配属は、3年生の2月中旬に開催される卒業研究発表会の後に決定されます。 各研究室への配属は、昨年度から、

  • 各研究室とも、3人までは希望者を断ってはいけない。
  • 希望者が3人を超える場合には、各研究室の裁量で定員を決めることができる。
  • 定員を超える希望者がいた場合には、あらかじめ宣言された基準に従って教員が学生を選抜する。

という方法がとられています。

参考までに伊藤研究室の方針は、いまのところ以下のようになっています。あくまでも前例として参考にして下さい。

■ 学科の方針として2012年から「全ての研究室において定員は最大5人」となりました。 研究室配属希望者が6名以上になった場合には、教員が学生を選ぶことになります。 この選抜基準については、別途説明します。

■ 伊藤研究室でこんな研究はできるだろうか、自分が配属になって大丈夫だろうか、という具体的な懸念がある人は、必ず配属前に事前相談にきてください。事前相談に来ないまま配属になって期待外れだといって後悔しても、それは全て事前相談に来なかった人の自己責任です。

■ 他の研究室に配属になるけども、伊藤研究室の活動にも参加したい、という場合には別途ご相談ください。
過去にも 他の研究室との融合的な研究テーマに着手して2教員で指導したという例がいくつかありますし、伊藤はそのような事例を増やすことを前向きに考えています。 また、非常に大変なことではありますが、他研究室では過去に卒業研究を2個同時に着手し、2個とも発表したという事例があります。

他大学からの受験と配属

まずは本学大学院の入試に合格しないといけません。詳しいことは 本学入試情報のページをご参照下さい。
本学大学院理学専攻では、受験資格として「指導を希望する教員に事前に連絡すること」という主旨の条件が明記されています。言い換えれば、自主的に教員に連絡をとらずして唐突に受験しても合格はありえません。 伊藤研究室に配属しての大学院入学を希望される場合には、まずは itot (at) is.ocha.ac.jp までご連絡をお願いします。

ご連絡を頂ければ、主に学部での勉強内容、大学院進学後の希望研究テーマ、入試対策、などについて相談いたします。あまりにも希望研究テーマが伊藤研究室に合わない場合には、他の研究室を薦める可能性もあります。

本学入試情報のページをご覧頂ければわかりますが、本学ではTOEICやTOEFLなどの英語試験の認定成績の提出が必要で、また入試1日目の午前には筆記試験(数学・情報科学)があります。それに加えて専門科目の口述試験があります。どんなに研究面で意欲を示しても筆記試験の点数が低ければ合格はありえません。 まずは筆記試験の対策を最初に講じるべきです。その点についても面会時に説明いたします。

めでたく入試に合格されましたら、あとになって他の研究室に配属になることはまずありません。合格後は学部卒業研究の状況なども鑑みながら、どのようにしてスムーズに伊藤研究室に合流できるかを相談しましょう。過去の他大学出身生の前例として、学部卒業研究のうちから伊藤研究室とも連携し、他大学の学部に在籍しているうちに伊藤研究室の予算で学会発表出張に参加した、という事例があります。

こんな学生を歓迎します

■ 研究テーマについて強い希望がなければ、伊藤研究室が最も強みとしている 『可視化』に関係あるテーマ に就いて頂くことになりますので、その場合には可視化に興味がある学生であることを強く期待します。

■ それとは別に個人的には、以下のような学生を歓迎したい、という気持ちがあります。
  • なにはさておき、『希望研究室は伊藤研究室一筋』という学生を特に歓迎します。

  • 本学で学生生活を全うする学生にとって、研究室選びは原則として一度しかありません。一方で他大学に進学する学生には、研究室を選ぶチャンスが確実にもう1回あります。
    以上のことから、どうしても配属希望人数が多すぎる場合には本学で学生生活を全うする学生の配属希望を優先したいという心情があります。

  • 就職する学生よりも進学する学生のほうが研究室生活が長いぶん、研究室選びが重要である、という考え方もあります。このことから、(もしいれば)博士後期への進学も視野に入れている学生を最優先して欲しい、と思います。

  • 伊藤研究室では年に3回の見学会を実施しています。この見学会に来て、伊藤研究室の研究内容や雰囲気を理解した上で 配属を希望してくれる学生を、特に歓迎します。

  • 伊藤研究室は大学院進学率がほぼ100%という状況が続いているため、全学年を合わせた配属者数が特に多い研究室という状況が続いています。しかし、皆さんに割り当てられるスペースは人数に比例しません。
    つまり伊藤研究室は、一人当たりスペースが特に狭い研究室、という状況が続いています。この状況を納得した上で配属を希望してくれる学生を歓迎します。

  • その他、このページの内容を尊重してくれる学生を歓迎します。具体的には、
    • 4年生前期から学外発表を目標に全力を尽くしてくれる学生
    • 「質問せざる者、卒業するべからず」を肝に命じてくれる学生
    • 研究だけでなく懇親会などのイベントにも積極的に参加する学生

    などの条件を満たす学生を歓迎します。


Q&A

【Q】研究着手にあたり事前に何を勉強しておくべきですか?
【A】伊藤研究室では研究配属の直前直後に教科書の輪読をしたり学会の勉強会をするといったことはありません。というのも研究室メンバーの研究テーマが非常に幅広く、活動対象となる学会も学生によってバラバラだからです。よって、まず各学生の皆さんに対象研究分野を選んでもらい、その上で皆さんそれぞれと、何を勉強して何を目標にするかを議論します。言い換えれば、伊藤研では教員と学生の個人面談が全ての研究のスタートラインになります。どうしても気になる場合には研究室配属前でも個人面談ができますので、申し込んで下さい。

【Q】どうしても研究室に滞在しないといけないコアタイムなどはありますか?
【A】週1回の全員ゼミがある以外は全くありません。アルバイトやサークル活動等も規制しません。基本的に各自の生活リズムで大学に来て下さい。ただし前述のとおり、教員をつかまえやすい時間に研究室にいる学生の方が合理的に研究が進んでいる傾向は確実にあります。

【Q】開発環境に指定はありますか?  
【A】特にありません。所属学科の計算機教育がMacで行われているので学生も個人所有のMacで開発を進めることが多いですが、他のプラットフォームでも問題ありません。伊藤自身もWindowsとMacを併用しており、むしろWindowsとMacの片方でしか動かない開発環境は好みません。 (ただし一部のプロジェクトでは必要に迫られてWindows上でVisual C++を使っていました。)
プログラミング言語は研究室創立当初からの歴史的経緯によりJavaが最も多いですが、C++, Python, JavaScript, MATLAB, Rなどを使う人もいます。IDEにはEclipseを使っている人が多いですが他のものでも全く差し支えありません。
ところでOpenGLというコンピュータグラフィックスのライブラリがMacOS 10.14から非推奨になります。 これは伊藤研究室のプログラムの約半分に影響を与える大きな事態ですが、かといって研究室としてこれに対して早急に何かを対応する予定はありません。 まだ状況判断には尚早かもしれませんが、近未来的な可能性として、

  • 教員や先輩のプログラム資産を活用した研究テーマを選ぶならMacよりWindowsのほうが便利
  • 研究のために必要な商用(またはオープン)ソフトウェアのMac版がWindows版に比べてサポートが遅れる
といった状況が生じることを想定しています。

【Q】研究がうまくいくための秘訣を教えてください。
【A】伊藤研の研究分野は主観評価をともなう課題が大半を占めており、研究の発案や開発はもとより、研究が成功したことを示す根拠つくりに多大な労力を要します。また主観評価をともなうゆえに幅広い反響を受ける傾向にあり、そのぶん幅広い価値観を理解する必要があります。以上により、以下の3点を最大の秘訣としてあげたいと思います。
  1. 時間と手間を惜しまない。特に、できる限りたくさん実験をしてそれをすべて人に見せられるようにすること、できるだけ大きなデータを構築すること、などに多くの時間をかける。
  2. 多大な時間をかけた結果として何も成果が出なかったら損失が大きすぎるので、できるだけ研究の初期段階で積極的に個別議論をもち、ある程度の手応えをもった上で開発や実験に臨む。
  3. 積極的にいろんな場所にて研究を発表して多くの意見を聞いた上で、その意見を全部参考にするのではなく、うまく取捨選択しながら研究を進める。

【Q】先輩学生の皆さんは伊藤研をどんな場所だと思っていらっしゃるでしょうか。
【A】伊藤研に見学に来られることがありましたら、先輩学生を紹介しますので、ぜひ連絡先などを交換して直接質問してみてください。教員には質問しにくいことを先輩学生に直接質問してみましょう。先輩学生たちも質問してくれたことを喜び、伊藤研について正直に説明してくれると思います。

【Q】自分のやりたい研究テーマが伊藤研で前例がないテーマなのですが、できますでしょうか。
【A】伊藤は基本的に「やりたい研究テーマがあるのなら困難があっても一度は挑戦してみるべきだ」と思っています。言い換えれば「やりたい研究テーマがあるのに着手しなかった」という後悔は極力避けてほしいと思っています。
以上のことから伊藤は、やりたい研究があるけど伊藤研の中に前例がないという場合には、積極的に学外の専門家に声をかけて共同研究を組むなどの形で、皆さんが望む研究テーマを実現しようとしています。
2015年度には伊藤研では、社会人学生を除く学生16名のうち14名が、学外の専門家との共同で論文を発表しました。各々の学生が望む研究テーマを実現するための体制作りの結果です。ご協力いただいている共同研究先の関係者の皆さまには感謝に堪えません。