Report Vol. 16

第16話:帰国しました(1)

こんにちは。報告が遅れましたが、半年間のカーネギーメロン大学客員研究員の勤務を終えて、一昨日に日本に帰国いたしました。 すでに元の自宅に戻っており、来週から元の職場に勤務いたします。

この半年間、私のメールに対して多くの返信をいただき、本当にありがとうございました。 毎回10通以上くるので、とても全部には返信できませんでした。どうもすみませんでした。

最後に、「ピッツバーグはどんな街だったか?」「アメリカ生活は伊藤にとってどう有意義だったか?」 「前回までのレポート内容の続報は?」という点について報告して、一連のレポートメールを締めくくりたいと思います。 長い間お読みいただき、本当にありがとうございました。

★ピッツバーグの治安
アメリカの多くの街では「治安のいい区域」と「治安の悪い区域」がクッキリ分かれています。 ピッツバーグでは「治安の悪い区域」が奥まった場所だけに存在していて、そこに行く機会はほとんどないので比較的快適に過ごせます。 私の滞在した学生街にいたっては、日本人滞在者のほとんどが「ここは東京より治安がいい」と断言していました。 アメリカというと危険なイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような方からみると意外な事実なのではないでしょうか。 私も、自分が滞在した地区の穏やかさには驚きました。ここで銃犯罪や強盗にあう確率より、 東京でオヤジ狩りにあう確率のほうが高いような気がします。

★ピッツバーグのマナー
私が訪問した街に限定していうと、アメリカでは都会の人ほどクールでスピーディーでマナーが悪く、 田舎の人ほど優しくてノンビリしててマナーがいい、という印象があります。(日本も似たようなものかな?) 地方都市ピッツバーグは、その「いいとこどり」といった感じでした。会う人会う人みな非常にやさしく、 譲り合いなどのマナーもシッカリしていて、セカセカしてなくて、かといってノンビリすぎず、実に快適でした。 この点は東京よりはるかに気持ちがよかったです。

強いていえば、ひょっとしたらアメリカ全般に言えるかもしれませんが、ピッツバーグも日本人と比べてやや雑なところのある人が多く、 キレイ好きな人が少ないような気がします。私自身がズボラな性格なので、ゼンゼン気にならないのですが .... 近頃日本で流行しているらしい「潔癖症な人」は、ひょっとしたらアメリカには向いてないかもしれません。

マナーといえば、運転マナーは東京に似てます。渋滞時の譲り合いのルールとか、近隣ドライバーへの合図の出し方とか、かなり似てます。 ピッツバーグのほうがいい点といえば、歩行者優先の気持ちが徹底していること。 東京のほうがいい点といえば、ウィンカーを適切に出せる人が多いことです。

★ピッツバーグの気候
1年のうち4,5ヶ月くらいが夏で、4,5ヶ月くらいが冬、だそうです。日本の春や秋のようなホドよい気温の季節が非常に短いそうです。

私が到着したのは、よりによって1年で最も寒い時期。到着したらいきなり最高気温が -5度(これでも暖冬だそうで)。 東京で使ってるコートや手袋では防寒にならないので、最初の週末は防寒着の購入に行きました。 街には防寒のために覆面レスラーのようなマスクをしている人が多数歩いていて、「この人たちの近くを歩いていいのか」と不安になったものです。

幸いにしてピッツバーグは、毎日のように小雪が降っていても、それが積もることはほとんどありません。 積もったとしても、翌朝の除雪と融雪で一気に道路から消えます。よってタイヤチェーンを装着しなくても、運転には不自由がありません。 シカゴに実家のある知人が、クリスマスに積雪で4日の外出禁止をくらったのに比べれば、寒いといってもだいぶマシです。

今年の3,4月ごろの気候は支離滅裂でした。30度近くまで上がる夏日と、雪の降る寒い日が交互にやってきました。 この気候が終わると、もう夏です。 5月には屋外プールで泳げます。私は4月末から短パンにサンダルで過ごしました。

こんな気候なので、ピッツバーグの娯楽はメリハリがハッキリしてます。 テニスやジョギングは冬はやらない、という人も多く、かわりにコンサートや美術館などの屋内娯楽は冬の間だけ繁盛してます。

★ピッツバーグの食生活
ピッツバーグの地元スーパーには、驚くほどなんでもあります。魚の種類が少ないことを除けば、なんでも食べられます。 例えば野菜なら、白菜、大根、椎茸など、いかにも日本人的な野菜でも売ってます。アメリカ人はこれらを買ってるんでしょうかねー。 中国人とかの消費が大きいのかな。

よって、米と調味料さえ手に入れば日本食も自炊できます。日本食材店なんて月1回行けば十分。 近くに日本食材店がなくても、米と調味料だけなら誰かに買ってもらえばいいでしょう。 というわけで、アメリカの食事に自信のない人がピッツバーグに滞在することになっても、自炊を覚えて行けばOKです。

一方、アメリカンレストランはいまだに、肉とポテトと野菜1種類だけ!というようなシンプルなメニュー (しかもこれがむちゃくちゃ大量)が多いので、すぐ飽きる人も多いかもしれません。 幸いにしてピッツバーグにはアジア料理(中国、韓国、タイ、インドなど)の店が多くて、 私はこれらの店に行くといろんな種類の肉や野菜が食べられるので安心したものです。

では、ピッツバーグに滞在していてどんな食べ物が恋しくなるか?というと一つには「日本人アレンジした外国料理」があると思います。 例えばラーメンとか焼餃子は、日本で生まれた中華料理ですので、アメリカの中華料理屋に行っても滅多にありません。 それとは別に、私の知人は「ねぎとろ」をあげてました。 ピッツバーグには寿司屋は非常に多いのに、なぜか「ねぎとろ」のある店が少ないそうです。

★ピッツバーグのショッピング
ピッツバーグにもデパートくらいあります。といっても大都会の高級デパートと違って、ここのデパートは生活密着型です。 高級品も多いのですが、一方で日本ならダイエーなどのスーパーで売ってるような格安品まであります。 $600 の高級スーツの隣に $10 のYシャツがある、という感じで広範囲のものを取り揃えてます。 そんな感じなので、衣類と生活用品の購入は、ほとんどこのデパートを含むショッピングモールだけで用が足りてしまいました。

おまけにピッツバーグ(というかペンシルバニア州)は、なんと衣類の税金がゼロ。 貧乏性な私は、こりゃ得だとばかりに、半年で靴を5足も買いました(笑)。

ではでは。

 

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